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地球科学

年縞に刻まれていく地球の歴史 。その瞬間を水中カメラで記録したい!

年代の「世界標準ものさし」として知られる福井県水月湖の7万年の年縞に、新たな地球の歴史が刻まれる瞬間を目撃しましょう!

中川毅(立命館大学)
これまでに集まった金額
プロジェクト成立
¥2,673,000
157.24%

サポーター

67人

募集終了

このプロジェクトは、までに目標金額の¥1,700,000が集まれば成立します。

■世界のレイク・スイゲツ!

 

福井県の水月湖(すいげつこ)をご存知でしょうか?

 

ウィキペディアの日本語版に「水月湖」という項目はありません。しかし、英語版では「Lake Suigetsu」という見出しで詳しい記述があります。ロシア語版とフィンランド語版にも登場します。福井県の小さな湖「レイク・スイゲツ」は、世界の地質学者や考古学者にその名を知られた巡礼地なのです。

 

水月湖が特別なのは、湖底にたまる泥に秘密があります。「奇跡」と呼ばれることすらある、本当に特別な泥なのです。

 

2018年の9月にはなんと! 水月湖の底の泥を展示するための博物館までオープンしました。まだ開館から1年も経っていませんが、すでに5万人以上の方が来館されています。

 


 

また、水月湖の泥を題材にしたブルーバックスの書籍『人類と気候の10万年史』は、2017年の講談社科学出版賞を受賞し、3万部以上を売り上げるベストセラーになりました。

 

暗い湖底にたまる単なる「泥」の、何がそこまで特別なのでしょう。

 

じつは水月湖の底の泥は、まるでミルフィーユかバウムクーヘンのような、薄い層になっているのです。

 

水月湖の底には、春から夏にかけては黒っぽいプランクトンの遺骸、秋から冬にかけては白っぽい鉄鉱物がたまります。また湖底に酸素がないため、泥をかき乱す生物もいません。このため、1年に1枚の非常に薄い地層が、ほとんど乱れることなく規則正しくたまっています。



 

1年に1枚ずつできてゆく地層の縞模様。これを地質学の用語で「年縞(ねんこう)」と呼びます。水月湖の底には、年縞が厚さにして45メートル、時間にすると7万年分もたまっているのです。

 

これほど分厚く連続した「年縞」は、世界でも水月湖でしか見つかっていません。

 

 

■年縞はどう科学に貢献したか

 

見た目に非常に美しい(と私は思います!)年縞ですが、いったいどのように科学に貢献したのでしょうか。

 

私たちの研究グループは、水月湖の底にある7万年分の年縞をすべて数え上げました。5年にわたる地味な作業でしたが、そのようにして突き止めた縞の「枚数」は、過去何万年もの時間をはかるための最も正確な「ものさし」として世界に認められました。

 

そして2013年からは、水月湖のデータを中心部分に含んだデータセットが、世界中の研究者によって「世界標準の年代目盛り」として利用されているのです。

 

水月湖の年縞の価値は、それだけではありません。年縞は「ものさし」であると同時に、天然の「年代記」でもあるのです。

 

年縞の中には、植物の葉っぱや花粉の化石、大陸から飛んでくる黄砂、火山灰など、いろいろなものが含まれています。これらはすべて、過去の地球の環境や災害の歴史について知るための貴重な手がかりになります。

 

         水月湖の年縞に含まれる花粉の化石(顕微鏡画像)

こうした手がかりを丁寧に分析していくことで、水月湖の周辺で過去に起こった出来事を、きわめて詳細に知ることができます。

 

いま、地球温暖化や水害の増加など、未来の環境をめぐる不安が取り沙汰される時代になっています。未来のことをきちんと考えていくために、過去について正確な情報を手に入れることは、これからますます重要なことになっていくでしょう。

 

水月湖はそのためのもっとも貴重な情報源として、これからも輝きを増していくに違いありません。

 

 

■今回のプロジェクトで何をめざすのか

 

そのように貴重の水月湖の年縞ですが、水月湖の底で年縞がじっさいにできていく様子を目撃した人はいません。水月湖は水深が45メートルもあり、酸素がなく光も届かない死の世界です。湖底の水は強い酸性のため、スキューバを使って湖底に潜ることもできません。

 

しかし、「季節ごとに違う物がたまる」からには、水月湖の湖底は「季節ごとにちがう色をしている」はずなのです。私たちは、その様子を見てみたいと思いました。

 

そこで2017年から2018年にかけて、数ヵ月に1回「水中ドローン」を沈め、湖底の様子を観察しました。すると、夏の湖底と冬の湖底は実際に違う色をしていました。

 

         夏(左)と冬(右)の湖底の様子。違う色をしている。

さらに面白いことも分かってきました。台風の翌日の湖底を観察すると、洪水で運ばれた泥水が沈殿して、まるで雪景色のような美しい光景が広がっていました。

 

水月湖の泥はたしかに、季節の移ろいと災害の両方を「記録」していたのです!

 

しかし、私たちが湖底を観察できたのは、わずかに片手に余るほどの回数でしかありません。湖底で本当は何が起きているのか、私たちはそのすべてを目撃したいと強く思うようになりました。

 

ときどき水中ドローンを沈めるのではなく、湖底に据え付けることのできる本格的なロボットを開発し、湖底の様子を1年間(装置の耐久性が許すならそれ以上の長期間)にわたって、連続的に撮影したいのです。

 

7万年の歴史を刻んできた水月湖。その湖底に歴史が刻まれていくまさにその瞬間の、世界で最初の目撃者になってみませんか?

 

関連情報

researchmap 中川毅 教授 インタビュー

 

※本プロジェクトは、「寄附型」になります。ページ下部の「よくある質問」に、寄附型プロジェクトに関する一般的な注意事項も記載させていただきますので、必ずご確認の上、お申し込みください。

お知らせ

【本プロジェクトの方法】 湖底には太陽の光が届かないので、人工的な照明が必要です。しかし照明を使いすぎると、光合成が可能になって藻が繁殖するなどのトラブルが予想されます。そこで1時間に1回、ごく短時間だけ照明をオンにして、湖底の様子を撮影します(撮影に必要な電力は、湖面にブイを浮かべて太陽電池から供給します)。そうすることで、1日あたり24コマの写真を撮ることができます。 これは、標準的な動画の1秒間のフレーム数におおむね相当します。つまり、1日を1秒に縮めて見ることができるのです。 これを365日間続けると、365秒、つまりおよそ6分の動画になります(参考までに、このペースで7万年をカバーするには、およそ1年間流れ続ける動画が必要です)。その動画には、季節によって徐々に色を変えていく湖底や、台風の後の濁り水、岸から落ちてくる木の葉など、湖底に刻まれていく「事件」のすべてが映っていることでしょう。

よくある質問

1年後に、できあがった動画を見ることはできますか?
撮影した動画は、福井県年縞博物館やYouTubeなどで公開し、閲覧できるようにする予定です。
支援者様には、高画質の動画をダウンロードしていただく方法をご案内します。
動画はどのような研究につながるのですか?
動画を解析することで、季節ごとにどのような粒子が沈殿しているか、詳細に把握することができます。また、「何が起きたときにどのような層ができるのか」について、疑いの余地のない証拠が得られます。水月湖の年縞から過去の情報を抽出していくための、欠かせない基礎資料になっていくはずです。
「寄附型」プロジェクトとは、どのようなものですか?(枠組み/個人情報の取り扱い/領収書の発行主体など)
ブルーバックスアウトリーチ事務局がお答えします:「寄附型」プロジェクトでは、起案者である研究者の方が呼びかけ人となってプロジェクトを行い、所属している大学等の基金などへの寄附を呼びかけるプロジェクトです。ブルーバックスアウトリーチでお支払いいただく支援金は、そのまま大学等の研究機関の寄附受付口座などに届けられます。
こうしたプロジェクトでは、「寄附型」ではないプロジェクトとは異なり、支援者のみなさんの寄附を受け付ける(寄附契約を結ぶ)のは、各大学等の寄附基金になり、領収書の発行や、リターンの発送なども、原則として各大学等から行われます。
これらの寄附、および各大学等が行うリターンなどの業務のため、ブルーバックスアウトリーチは、必要な個人情報を、大学等と共有させていただきます。
より詳しくは、「利用規約(寄附型プロジェクトに関する特則)」をご参照ください。