甘葛(あまづら)を復元し『枕草子』『今昔物語集』に登場した究極古代スイーツを作る
芥川龍之介の名作にも書かれた古代の究極のデザート「芋粥」に使われた幻の甘味料「甘葛」の正体の究明と調理の再現に挑みます。
サポーター
71人
募集終了
このプロジェクトは、までに目標金額の¥1,000,000が集まれば成立します。
失われた幻の甘味料「甘葛」
砂糖が日本に伝来したのは754年。唐の高僧・鑑真によるものとされています。しかし、砂糖が広く口にされるようになるには、鎌倉時代以降の対外貿易の拡大まで待たねばなりませんでした。
ですが、古代の日本人もおいしいスイーツを食べていました。当時の日本には「甘葛(あまづら)」という甘味料があったのです。
甘葛は多くの古典籍にたびたび登場しています。たとえば芥川龍之介の名作『芋粥』のもととなった『今昔物語集』『宇治拾遺物語』の説話には、甘葛で煮た芋粥が饗宴のご馳走だと記されており、飽くほど食べたいと望む貴族が登場しています。
さらに『枕草子』では、夏に氷室から出された氷に甘葛をかけるかき氷が「あてなるもの(上品で雅なもの)」として登場しています。
貴族社会における優雅な生活文化を演出する上で、甘葛はとても重要な存在でもあったのです。
▲清少納言著『枕草子』四十七段「あてなるもの」(写本)国文学研究資料館所蔵 本文一行目の後半から「削りひにあまづら入れて新しきかなまり(碗)に入れたる」と書かれている。
▲藤原清香(七条文堂)著『甘葛考』国立国会図書館所蔵(写本)清香が甘葛の原料と考えた野生ブドウのスケッチが描かれている。
ところが中世以降、砂糖が普及していくと記録から甘葛は消えていきます。江戸時代になると、完全にその存在は失われてしまいました。いまとなっては、その原料や製法もいっさいわからなくなってしまったのです。
甘葛を現代によみがえらせる挑戦
この甘葛は果たしてどのようなものだったのでしょう。それを知るために、古代から江戸期までの古文書と近・現代の先行研究を精査した結果、有力な原料として3つの候補まで絞り込むことができました。それは「アマヅル樹液」「アマヅル果実」「ツタ樹液」です。
続いて野外調査によって、22種の樹種を調べ、糖度の高い樹液だけを採取。その樹液サンプルから、高速液クロマトグラフィーによる糖およびアミノ酸組成の定量分析を試みました。
▲甘葛の原料候補として分析した植物種群の一部
▲複数種の樹液サンプルから抽出された甘葛シロップ
その結果、文献調査によって絞られた3つの候補すべてが甘葛である可能性が出てきたのです。
みなさんからのご支援で実現したいこと
今回のプロジェクトでは、甘葛の原料と考えられる3つの候補すべてから実際に甘葛の復元を試みます。そして成分をすべて確かめたうえで、幻の甘味料「甘葛」を用いた古代のスイーツを再現します。
古文書を紐解くことはもちろんですが、古代の調理法・道具に即した調理実験を積み重ね、甘葛を用いた調理法の細部を解明していきます。まさに平安期の究極のスイーツと言える「芋粥」には、その調理法について文献上に未だ疑問な点も多く、実験を積み重ねることが必要ですが、それには研究者の力だけでは不十分です。京都にある立命館大学だからこそできる利点も活かし、古代の料理や宮廷料理に精通したプロの料理人と協働し、研究を進めてまいります。
ご支援いただくみなさまにも、是非私たちと一緒に”甘葛”を味わい、この研究を成就することに協力していただきたいと思います。申し上げるまでもないことですが、甘葛は世界中探してもどこにも販売しておりません。この機会はたいへん貴重であり、私たちも全力で返礼の甘葛をご提供いたしたいと張り切っておりますので、是非多くの皆様方より、奮ってご支援いただけますことを願っております。
甘葛の味は?
甘葛の味について興味をもたれる方もおられることでしょう。試食をしていただいた方の感想は様々です。「蜂蜜のよう」「べっこう飴のよう」など他の甘味に似ていると言う方や、「上品でさっぱりした甘味」「独特の風味がある」「アクがなくすっきりしている」と表現された方もいらっしゃいます。アマヅルとツタでもずいぶんと風味が異なり、好みも別れます。これは自分の舌で確かめてもらうより他ありません。ご寄附をいただいた方への返礼品に甘葛の味を体験できるものをいくつか用意しております。是非、味わってみてください。
【研究計画】
※プロジェクトの進行状況により変動いたします。
2021年1月 クラウドファンディング挑戦
2021年3月 江戸期における甘葛研究に関する古文書の直筆文書の確認。
2021年5~7月 収集した樹液・果実の成分分析。分析により得た各種の糖およびアミノ酸組成による、人工的な甘葛再現実験。「芋粥」の再現について、実験考古学的な検証。
2021年7月~ 支援者へのリターン提供の開始(返礼品によって、時期が異なります。詳細はリターンの説明をご確認ください)。
【1年後の研究成果のイメージ】
中学、高等学校でも馴染みある古典にも登場しながら未だ不明瞭な「甘葛」について、より具体的な知見をまとめ、発信していきます。その成果を通じて、人文科学と自然科学の融合研究の魅力を伝えることができればと考えております。
また、甘葛の原料となる植物を栽培し、生産・加工・商品化・集客へと第6次産業へと発展させるための技術開発も進めていく計画もしています。甘葛が再び日本の食文化の中で脚光を浴びることを期待しています。中山間地域における産業振興へと発展する夢も描いています。ぜひ、多くの方々からの応援をお待ちいたしております。
【これまでの研究過程および実績】
これまで私たちは、立命館大学と国文学研究資料館との共同研究によって、甘葛の原料の究明について異分野融合(生物化学×国文学)の共同研究を進めて参りました。
研究課題:「料理・調味料の復元と活用に関する研究」
研究事業主体:国文学研究資料館異分野融合共同研究:歴史的典籍NW事業 異分野融合共同研究(和食と伝統医学の研究)https://www.nijl.ac.jp/pages/cijproject/research_006.html#section007
研究代表:神松幸弘・立命館大学 立命館グローバル・イノベーション研究機構
研究期間:平成 28(2016)年 7 月~令和2(2020)年 3 月
主な研究成果:研究成果の発信は主に以下のように進めてきました。
- 公開シンポジウム:古代の甘味「あまつら」の復元とその試食~清少納言も愛でたあまつらかき氷の再現 in 立命館グローバル・イノベーション研究機構シンポジウム「超長期的視点から見た人口・環境・社会」2019.08.02~08.03
- 公開シンポジウム:「文学と化学分析から見た、日本の食文化における断絶と継承」 in 国文学研究資料館2階 オリエンテーションルーム 2019.02.08
- 学会発表:「日本古代の甘み「甘葛煎」の原料植物について」和食文化学会第2回大会、2019年10月20日、鶴岡市 https://washoku-bunka.jp/meeting2.html
- 論文発表:「古代の甘味「甘葛煎」の原料に関する考察」環太平洋文明研究4号p89-109,2020.3 https://www.yuzankaku.co.jp/products/detail.php?product_id=8639
- その他の報告:「古代の甘味料"あまつら"の復元」―文と理の知恵の蔓を綯い交ぜて― ふみ 第9号(2018年1月発行)https://www.nijl.ac.jp/pages/cijproject/newsletter_fumi_vol9.html
- その他の報告:「古代の甘味 あまつら の復元とその試食」ふみ第13号(2020年1月発行)https://www.nijl.ac.jp/pages/cijproject/newsletter_fumi_vol13.html
- 新聞掲載:「平安の「甘み」どんな味?樹液で「あまづら」再現 立命大で3日試食会」京都新聞朝刊、2019年8月1日
- 新聞掲載:「文化「あてなる」あまづら 幻の味」日本経済新聞朝刊、2020年9月22日https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64016890Y0A910C2BC8000/
- ネットメディア掲載:「古代日本が愛した幻の味よ再び「あまづら」復元への挑戦」科学技術振興機構(JST)、Science portal、2021年1月4日https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/clip/20210104_g01/
この研究活動をこのまま終えるのはもったいないと私たちは考えています! もっと、継続してこそ、学問社会にも実際の社会にも役立つ研究に醸成できるはずだからです。どうか、私たちとともにこの研究を推進していきませんか。ご支援のほど、よろしくお願いいたします!!!
【ご寄附をいただくみなさまへのお願い】
領収書の発行について
領収書については、ブルーバックスアウトリーチでの募集終了後、手続きを経て、学校法人立命館に寄附金が入金されたのちに、ご送付となります。 領収書の発行日は、お申込受付日やカード決済口座からの振替日ではなく、学校法人立命館への入金日となりますので、あらかじめご了承ください。 本プロジェクトが成立した場合の入金日は、2021年3月下旬の予定です。
お知らせ
多くのみなさまからのご支援お待ちいたしております!
募集期間中のプロジェクトの進展は随時お知らせしていきます!
よくある質問
- 甘葛に対する食品アレルギーはありますか?
- 「寄附型」プロジェクトとは、どのようなものですか?(枠組み/個人情報の取り扱いなど)
- 志に共感し、法人から寄附をしたいと思っていますが、可能でしょうか?
- 支払い方法はクレジットカードのみのようですが、他の支払い方法には対応できませんか?
神松幸弘
立命館大学
立命館グローバル・イノベーション研究機構
助教
研究内容
環境動態解析、環境影響評価、自然共生システム、地理学、進化生物学
自己紹介
以下の研究テーマに取り組んでいます。 ■日本産小型サンショウウオ類における生態的機能(主に食性とすみか)と環境変動との関わりに関する研究 ■水田環境の近代化に伴う人間ー自然相互作用環に関する研究ー東南アジア地域における人獣感染症リスクの変容に着目してー ■古代甘味料”あまづら”の原料物の探査および効能、収穫効率に関する生態学的研究 ■縄文人の食性、土地利用に関する研究。とくに食性、土地利用、自然変動との関わりにおける適応応答について
プロジェクト数
1件
リターン
¥2,000
ニューズレターの謝辞欄にお名前掲載
本プロジェクトの研究が進展した折に、立命館大学環太平洋文明研究センターが発行するニューズレターに研究の成果、研究時のエピソード、共同研究者との対談をまとめて詰め込んだ、「甘葛研究の全て(PDF版)」をHP上で公開します。
こちらに、謝辞とご支援いただいた方のお名前を掲載します。
ニューズレターの発刊は2022年1月頃を予定しています。
個数無制限
2人が支援
¥5,000
オンラインセミナー参加権
+ニューズレターの謝辞欄にお名前掲載
数々の古典は「甘葛」についてどう記録してきたか、実際に「甘葛」原料を採取して食べたらどのような味だったのか、人工的に復活させるのはどうして可能になったのか、研究者自らが熱く語ります。オンラインで質問もできます!
フィールドでのエピソードや秘密のテクニックなど普段、論文や書籍では触れられない、情報もお伝えいたします。
ふるってご参加ください!
2021年10月ごろの開催を予定しています。
残り47個
3人が支援
¥15,000
幻の味を飴で体験! 甘葛風味の京飴3種セット
+ニューズレターの謝辞欄にお名前掲載
+オンラインセミナー参加権
これまでの分析結果から、甘葛の原料として有力視されるツタ、アマヅルの樹液、ヤマブドウ果実の3種類をそれぞれ原料に加え、創業大正10年の京都の老舗「大文字飴本舗」様の伝統の飴作りで培われた”匠の舌と技”により味を再現した京飴を3種セットでお届けいたします。それぞれの風味をご賞味ください。京都の老舗の飴屋さんで製造された自然でどこか懐かしい味わいが楽しめます!
2021年7月中旬頃にお届けする予定です。
※現在開発中のため、写真はイメージです(3色の飴が入ります)。
残り90個
10人が支援
¥30,000
清少納言も食べた古代スイーツを体験! 甘葛の味を再現したシロップ3本セット(かき氷、芋粥レシピ付き)
+ニューズレターの謝辞欄にお名前掲載
+オンラインセミナー参加権
+かき氷、芋粥レシピ付き
『枕草子』に登場する「甘葛をかけたかき氷」を食べたり、『今昔物語集』に書かれる「芋粥」を作れるシロップを提供します。
高速液クロマトグラフィーによる詳細な成分分析を経て、それぞれの天然の原料も加えつつ、人工的に「甘葛」の味を再現したシロップです(一瓶につきおよそかき氷4食分)。とくに、今回は、江戸時代の本草学者である小野蘭山、黒田翠山、藤原清香の3人のそれぞれの説にちなんだ甘葛シロップを再現してみました。この試みは、世界初でとても貴重です。これはぜひ味わってほしい!
2021年7月中旬頃にお届けする予定です。
※現在開発中のため、写真はイメージです。
残り23個
27人が支援
¥40,000
甘葛風味の京飴3種セット+甘葛味を再現したシロップ3本セット
+ニューズレターの謝辞欄にお名前掲載
+オンラインセミナー参加権
+かき氷、芋粥レシピ付き
創業大正10年の京都の老舗「大文字飴本舗」様にて、伝統の飴作りの”技術と味覚センス”により再現された甘葛風味の京飴3種セットとシロップ3本をセットでお届けいたします。
2021年7月中旬頃にお届けする予定です。
※現在開発中のため、写真はイメージです。
定員に達しました
30人が支援
¥500,000
研究者の特別解説付きで「芋粥」を味わう——典雅なる平安王朝の食文化体験(ペアでご招待)
+ニューズレターの謝辞欄にお名前掲載
+オンラインセミナー参加権
+甘葛風味の京飴3種セット
+甘葛味を再現したシロップ3本セット(かき氷、芋粥レシピ付き)
京都・岡崎にある『京料理 六盛』様と共同で究極のスイーツ!“芋粥”を研究し再現し、「創作平安王朝料理」とともに召し上がって頂きます。
六盛3代目当主の堀場弘之氏は、古典を紐解きながら王朝料理の研究をされています。今では手に入れることのできない古代の甘味料「甘葛」を使った“芋粥”を味わえるまたとない機会です。なお、このコース料理のほか、平安時代を再現したお部屋で、堀場弘之氏の平安王朝料理の解説と、神松幸弘先生による甘葛研究の解説もお聞きいただけます。究極のスイーツを味わいながら、平安王朝のロマンに浸ってみては如何でしょうか。
2022年1~2月頃にご招待の予定です。
※返礼内容には京都までの旅費、滞在費用等は含まれませんので、ご了承ください。
残り2個
1人が支援
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